薬膳のおはなし

冬の間の過ごし方について

 12月は一年の中でも一番日が短く、自然界に存在する陰陽の気の中で『陰の気』が最も強い時期が「冬至」です。この日は「柚子湯に入ってカボチャや小豆粥を食べましょう」と耳にすると思いますが、少しでも陽の気が多いもの取り入れようとする昔からの風習の名残です。

 そもそも「冬至」は、陰暦の二十四節気の1つで、冬は「立冬」「小雪」「大雪」「冬至」「小寒」「大寒」「立春」まであります。
 今年の12月は7日に「大雪」を迎え、21日に「冬至」を迎えます。
 「大雪」は、朝夕に川や池などに氷が張るほど寒さを感じる時期です。
 「冬至」は、1年で最も昼が短く夜が長い日です。この日を境に日が延び始めることから「一陽来復」とも言われます。古くはこの日を一年の始まりとして考えられ、新しい習慣やチャレンジは冬至が過ぎてからがおすすめです。

 では、この季節どのように過ごせば良いのか、東洋医学の基礎となる、『素問』という書物の中で『四気調神大論篇』というものがあります。それには「冬の3ヶ月は閉蔵という。それはもろもろのものが門戸を閉ざして、閉じ籠る季節である」とあります。

 具体的にどのようなものかというと……。

  1. 夜は早く寝て、朝は日が昇ってから起床し、睡眠時間はたっぷり取りましょう。
  2. 心を落ち着かせ、「あれをしなければ!」「これをしなければ!」と思わず、焦らすゆったりした心持ちで過ごしましょう。
  3. 身体はなるべく温め、寒気(冷たい空気)に触れないようにしましょう。適度な運動はお勧めしますが、冬はエネルギーを蓄える季節なので、食事制限や汗をたっぷり掻くような過度なダイエットは控えましょう。
  4. 鍋やスープ、温かいお茶など、身体を温めるものを摂りましょう。
    (※おすすめはハスの実やニラ、エビ、ラム肉、根菜類などが入った食事や、シナモン茶や杜仲茶などのお茶です)
  5. 風邪やインフルエンザなどが流行る季節ですので、柑橘系の食材からビタミンCをたっぷり摂りましょう。
    (※おすすめは金柑です。その他にも板藍根(ばんらんこん)などのお茶、ニンニク、生姜、ネギも良いです)

 ということです。
 もし、冬の養生が出来ずにいると、腎気(身体のエネルギーの源)を損ない、たとえ今症状が出なくても、春になると手足が萎えて冷える「萎厥(いけつ)」という病になります。これは冬に受けた損傷が元で、春になるころに、気力・体力が衰えて弱くなってしまいます。

 また、萎厥に限らず、コロナウイルスの感染もこの時期は増えてきています。冬にあった養生法で身体を守り、ウイルスや菌に負けない身体を作っていきましょう!

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